①フッ化物配合歯磨剤について
歯磨剤を選ぶ際に留意して頂きたいのが、フッ化物が入っているかどうかです。歯磨剤の箱やチューブの薬効成分の項目に「モノフルオロリン酸ナトリウム」、「フッ化ナトリウム」の記載が有れば、フッ化物入りの歯磨剤です。歯磨剤に入れてよいフッ化物の濃度は上限が決まっているため、毎日使用しても安全です。うがいの出来ない3歳以下の子供用に、低濃度の歯磨剤も市販されていますので、詳しい事はご相談ください。
②フッ化物洗口について
歯は生えた後の数年間が最もむし歯になりやすいので、その時期に積極的な予防を行う必要が有ります。フッ化物洗口は、予防効果や安全性が高く、セルフケアでも集団でも応用可能なため、世界的に推奨されています。洗口の対象年齢は、うがいのできる4歳頃から開始し、15歳頃までとなります。洗口法には、フッ化物の濃度により毎日法(週5回法)と週一回法が有ります。具体的な洗口方法は、薬液を口に含み、約30秒~1分間、薬液が十分に歯面に行き渡るようにします。1回に口に含む量は年齢を考慮し、4~5歳児で5~7ml、学童いじょうで10~12mlが適量です。
③フッ化物歯面塗布について
プロフェッショナルケアとしての歯面塗布には、9000ppmという高濃度のフッ化ナトリウム溶液を用いる事が多く、フッ化物洗口法に用いる225ppm(毎日法)や、歯磨剤に含まれる1000ppmに比べ数十倍高いのが特徴です。そのため、歯科医院で塗布する事になります。頻度は年に数回行います。高い濃度のフッ化物を塗布する事で、歯の表面に水に溶けにくいフッ化カルシウムが生成され、徐々に唾液中に溶けだし、低い濃度のフッ化物供給源としてエナメル質に作用し、歯の結晶構造を安定化し、虫歯に抵抗する強い歯質を作ることができます。しかし、あまり頻繁に塗布すると、歯の表面がフッ化カルシウムの層で覆われ、低い濃度のフッ化物がエナメル質の中に浸透しなくなるというマイナスの面が出てしまうので、3カ月に一度程度の塗布が良いと思われます。